最近読んだ本『右肩下がりの君たちへ』『努力不要論』『魔法のコンパス』『本気で5アンペア』 自分の発想が、古くさく凝り固まっていたことに気が付く

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『右肩下がりの君たちへ』(佐藤優)
 元外務省主任分析官で作家の佐藤優と5人の人たちとの対談集。2016年発行。

 津田大介「情報をみきわめること」

 津田大介はネットの情報をどう読むかという関係の本をいくつか読んだが、そのさばいている情報量の多さに驚いて終わっていた。
 おもしろかったのは、イスラエルの伝統的なスパイの話だ。電報に暗号を使うと、すぐにばれて役にたたないらしい。情報が秘密警察に読まれていることを知っている人が、暗号を使わずに情報を伝える方法は、なんと、スペルミスのあるなしだったというのだ。
 普段の電報は必ずわざと一か所スペルミスをすることになっていて、スペルミスがない電報の場合は「拘束されている」「この電報の内容は信用するな」という合図にしたのだという。低レベルな話だが、普段からスペルミスに敏感で「あっ」という間違いをしない人である必要がある。低レベルだが。
 あと、津田さんの情報源は、ネットの一次情報が3割、書籍や新聞が3割、直接人と会うが4割。
 出てきた読みたい本は、開沼博『漂白される社会』


古市憲寿「希望を持つこと」

 『絶望の国の幸福な若者たち』『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』の著者。希望難民とは、大きな希望を持ちながらもそれが実現できない環境の中で難民のように自分探しを続けてしまう若者のことだそうだ。ところが、当事者である20代の若者の生活満足度は8割だという。自分の中の「希望」の定義がぞっとするほど固定していたことに気が付いた。「希望」は人それぞれだ。くわしいことは古市さんの本を読もう。

萱野稔人「家族を持つこと」

 哲学者で著書に『成長なき時代のナショナリズム』。共同体に属さないリスク。「家族のような共同体を持たない個人が自力で生きていくのは非常に大変だし、いざというときに危ないものだと思いますよ」と話す萱野さんはこれから家族をさがすところのようだ。

木村草太「変化の中で生きること」

 憲法学者、著書に『テレビが伝えない憲法の話』。佐藤優のロシア警察の「最悪の場合はモスクワ川に浮かぶ」怖い話が炸裂!中国マフィアの「揚子江に浮かぶよ」のロシア形。兵庫県なら…、言うのも怖い。

荻上キチ「いじめについて考えること」

 『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』を読んで共感した荻上さん。評論家。主に学校でのいじめの話だが、ここでは佐藤優の外務省やロシア大使館での壮絶ないじめの話が炸裂して、荻上さんの話が宙に浮く印象もあり。

 

『努力不要論』(中野信子)

 努力は役にたたないと言っているのではなくて、方向をみきわめた、結果が出ることが予想できる、見通しのある努力をしようという話だった。「誠実、勤勉な人ほどドス黒い感情が…」というのは、思いきった書き方だが…、本文を読むとあるかもしれないと思う。あんまり誠実すぎないようにしようと思ってみたりする。これも努力の方向の間違いによるものだろう。それにしても、間違った努力の実例を読んでいると、切なくなる。この本を読んでから、ますます家事が手抜きになった…。


『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』(西野亮廣)

 『努力不要論』の著者がとく、方向を見極めた努力をしている人の実例。この本、すごくいいんじゃね?(←西野さんの言い方)

 疑問を持ち、それを柔軟な発想で、誰もしていなかった斬新なことをして、新鮮な結果を出す。その数々は、読んでいて、わくわくする。
 ツイッターやフェイスブックで個人的にメッセージを送って人を集めるという手法は、知り合いのセミナー講師をしている人がさかんにしていたし、その人はそれで生活していけるだけの収入を得ていた。しかし、その人の場合は、たくさんの場所に出かけて行って、一人一人と接触して自分の素晴らしさをアピールするという、ものすごい大量の何年間もの営業活動があったが、西野さんは、漫才コンビキングコングのぎらぎらしたあの人なので、それをさっと使えることができた。そもそも、漫才コンビとして知名度を得ること自体がすごいのだ。あと、クラウドファンディングについても。
 多彩な人だ。少し前に出た絵本『えんとつ町のプペル』も読みたい。それにしても、相方のボケのほうの人はどんな人なのだろうか…。


『本気で5アンペア』

 5アンペアでの生活に挑戦した新聞記者の話。すごい人といわれる人でも15アンペアなので、5アンペアは極端な低電力生活だ。冷蔵庫は使える。他の家電を使わないなら、洗濯機、扇風機は使えるようだ。電気がないときの最大のネックは夏の暑さで、暑さをしのぐのは、かなり危機的だったようだ。どの家電がそのくらいの電気を使っているのか、それを調べる機械があるようだ。興味深い。家電製品との折り合いを考える。


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# by tarukosatoko | 2017-11-15 10:01 | | Comments(0)

ジェイソン・ブラウン(カナダ杯2017) 「ハミルトン」の背景 どこまでも続いてほしい、魂でつながる継ぐ者たちの壮大な物語 

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 NHK杯では残念だったが、ジェイソン・ブラウンの演技は、プログラムのすべての瞬間が見どころ!といいたくなる。ジェイソンは男子シングルを引退したら、最高のアイスダンサーになれるんじゃないかと思う。パートナーはアメリカ人では…、ロヒーン・ワードつながりでマライア・ベルを希望する!

 ショートプログラムは「The Room Where It Happen」(ミュージカル『ハミルトン』より、曲:リン・マニュエル・ミランダ)、振付はロヒーン・ワード。


 
0:05 腕時計を見るポーズで始まる
0:53 タノ3回転ルッツがきれいだ 
0:59 スピンも独創性があり、きれいなポジションで回転が速い
1:38 バレエジャンプが鮮やか
1:51 おもしろい振付も音楽にぴったりとあっている
1:58 しなるように足を上げる速度が絶妙
2:03 静止して決めポーズ、そこからのステップの水もしたたるような鮮やかさ
2:38 このスピン…うわわわわ、最後のほうは感嘆のため息…
3:00 うわああああああ、すごい、すごい、すごい カナダの観客も歓声をあげている
3:42 左端にロヒーン・ワード登場!続いてみていると、おおお、ロヒーン・ワードは頭頂を残して髪の毛をそり落とし、頭頂の部分でお団子にしている 黒いかちっとした上着に、なにやら穏やかではない黒とくすんだオレンジの柄のシャツ、錨のペンダント、なかなかいけている
3:56 エイドコーチとハグして次にロヒーンと。「よくやったよ」というふうにジェイソンの背中を3回たたく 
3:57 両手首にブロンズ系の濃淡のブレスレットをいくつか 数珠のようなものもあり ボトムスはシャツと同じくすんだオレンジ。
4:20 ロヒーン、ジェイソン、透明感のあるコーリ・エイドコーチ。この3人の並んだ姿も素敵だ。
4:26 笑う二人
5:45 最近の定番 得点を待つときの手つなぎ

 これまでもすばらしかったが、町田樹の言い方をさせてもらうなら、ジェイソン・ブラウン史上最高のジェイソン・ブラウンになる予感がする。


 もととなったミュージカル『ハミルトン』について調べたら、いろいろなことがわかった。

 物語は、アメリカ建国の父といわれるアレクサンダー・ハミルトンの半生を、ラップを中心とした音楽とダンスで描いている。ラップで描くというところがおもしろいと思う。

 ハミルトンは、没落したスコットランド貴族の父とフランス系の母のもと、1575年にカリブ海の小島で生まれた。両親は内縁関係で、父は商人だったが、のちに孤児となる。孤児として引き取られたニューヨークの商店で店をまかされるほどの経営能力を発揮し、新聞に作った詩が掲載されるという文才も発揮する。
 店主の援助でキングズカレッジ(現コロンビア大学)に入学し政治学などを専攻。独立戦争に参加し、アメリカ合衆国憲法の草稿作成に携わり、合衆国の初代財務長官に就任した。ニューヨークポスト紙の創業者でもある。
 10ドル紙幣の肖像画もハミルトンらしい。

 このミュージカルの作詞・作曲・脚本・初演の主演をつとめたのがリン・エマニュエル・ミランダという男性で、1980年ニューヨーク出身、祖父はプエルトリコ人。自身もハミルトンと同じプエルトリコにルーツを持つ。幼いころからピアノをはじめ、大学で演劇を専攻し、実績を積んできた。

 2008年にミランダはロン・チャーナウが執筆したハミルトンの伝記を読んで感銘を受けて、ラップを書く。
 その後、曲もかきあげて、2015年1月、オフブロードウェイのパブリック劇場でミュージカルを初演し、批評家や関係者に大絶賛を受ける。
 同年7月にブロードウェイに進出し、評価、興行成績ともに大成功を収めた。評判が高まり、公演が始まる前に全公演のチケットが売り切れ、期間を延長するがそれもすぐに売り切れる。

 という…すごい人を描いて、すごい人気を博しているミュージカルなのだ。

 そして、謎の振付師ローヒン・ワードは、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリス生まれで、2004年のプエルトリコのフィギュアスケートチャンピオンだ。ロヒーンとリン・エマニュエル・ミランダは似通った顔をしている。

 ハミルトン→リン・エマニュエル・ミランダ→ロヒーン・ワード。3人とも、カリブ海の島をルーツとするアメリカ人だ。

 アメリカについて全く詳しくないのだが、かつて、アングロサクソンでないヒスパニック系アメリカ人などの複数の人種が、ひどく差別されている小説を読んだことがある。有吉佐和子の『非色』という小説で、生活の細部にわたるまで書かれているので、当時のアメリカの差別の実情の一端を垣間見ることができた。アメリカでは黒人、アジア人、ユダヤ人、プエルトリコ人などは、微妙に違うが、差別の中で生き抜いてきたという歴史がある。『非色』では黒人の夫を持つ日本人である主人公は、苦しい生活と差別の中で、夫を責めたりするが、やがて、紆余曲折をへて、非常に前向きな率直なたくましい状態に行き着く。(こういう、何かをはねかえすような話が好きだ。つくづく思う、有吉佐和子さんってすばらしい!)

 同じプエルトリコの風土に根差した、才能ある3人による3重奏を、アメリカ人のジェイソン・ブラウンが最高のかたちで体現しているのが、このプログラムなのだ。

 ぜひとも、オリンピックで発表して、世界中の人たちにジェイソン・ブラウンとこのプログラムができる背景も知ってもらいたいと願う。特にカリブ海の島に住む人たちには見てもらいたい。

 カリブ海…行きたいものだ。



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# by tarukosatoko | 2017-11-14 14:18 | フィギュアスケート | Comments(2)

ビーツを入手してボルシチを作る もっと大きなビーツがあればなあ!

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 こじらせていた風邪もおさまってきた。再び漢方医院に行き、治ってきた風邪の最後の不快感に対応する漢方薬4日分をもらい、それをのみ終えたら、風邪は治ったことになる。しんどかった。

 風邪で寝ているときに、食材の宅配で頼んでいたビーツが届いていた。ラディッシュを少し大きくしたような小ささで、「テレビでロシア語」で見た、サンクトペテルブルグの市場で売っていたものの10分の1くらいの大きさだ。

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 いろいろな食べ方があるのだな。しかし、まずは、ボルシチに入れる。

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 あれれ、ビーツは中までルビー色一色だと思うが、これは違う。きれいな色柄だが、なぜだろう?

 ともかく…、ビーツをみじんに切って玉ねぎと炒めて、少しの牛肉に、にんじん、じゃがいを入れてさらに炒め、水とボルシチの素とキャベツ半玉を入れて煮込んで出来上がり。

 何度か食べられるように、ごく薄味にして、ロシア風けんちん汁という雰囲気のものを大鍋でたっぷり作ったが、家族が半分以上を一気に食べてしまった!野菜を求めていたのだろう。

 残念ながら、ビーツの存在は消えていた。家で作るボルシチは写真で見るボルシチとは全然違うのだ。もっと大量にビーツが必要だな。

 元気になったら、ロシア料理店にボルシチを食べに行こうと計画中。楽しみだ。

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# by tarukosatoko | 2017-11-12 14:10 | 食べ物・飲み物 | Comments(4)

セルゲイ・ボロノフ優勝おめでとう(NHK杯2017) 男子メダリストは30歳・28歳・29歳

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 羽生選手不在のNHK杯は、予想外の展開となった。

 羽生選手が発するものすごい気迫は、羽生選手が出場するすべての試合の雰囲気を作り出していたことを実感した。いうなら、試合全体の空気を支配するようなものだった。職場に、異常に仕事熱心で結果も出す、出せないと回りがいぶかしがるほど悔しがるというような超仕事人の同僚がいる雰囲気というか。その人がいるので、まわりも神妙に仕事に取り組む…というような。
 怪我が完治してオリンピックであの気迫を見ることができますようにと、祈るばかりだ!

 その羽生選手がいないNHK杯は、いつものNHK杯と空気が違った。主が不在の家で、どの選手も戸惑っているようなところがあった。やはり、怪我の具合などが心配だからだろう。
 ジェイソン・ブラウンが優勝で、アダム・リッポンが2位かなと予想していた。
 セルゲイ・ボロノフの演技は楽しみにしていたが、優勝するとは思わなかった!!!ショートを見ているとき、振付けをミューシャ・ジーがしたのがよかったのかなと思いながら見ていた。フリーもミューシャ・ジーの振付けで、素晴らしい出来映えだった。

 よかったですね、セリョージャ!見ているほうも、めっちゃ、うれしかった。やたらと30歳、30歳、30歳、30歳と解説の人たちに言われていたな。織田信成さんはご自身も30歳ということもあるし、長く続けているボロノフへの思いもあったのだろう、久しぶりに泣きそうだった。

 優勝者へのインタビューコーナーでは、ロシア語通訳の人がいるのに英語で答えていて「英語がいまいちで…」といいながら、二つ目の質問のあと、英語で短く答えてそそくさと帰ろうとした。なんでやねん!
 その後の質問にもロシア語で詳しく答えれば通訳の人が訳してくれるのに、なぜだか英語で答えていた。もっと、思っていることを聞きたかった!そういう不器用な感じもボロノフの魅力だろう。

 ちなみに2016年も、下のようにボロノフはがんばっていた。

2015年も下のようにジェフリー・バトルにトライしていた。


 そして2位のアダム・リッポンのフリーは4回転ルッツを着氷した。ダウングレードになったかもしれないが、とにかく、「あっ、できたかも!」と、テレビの前に乗り出して見た。全部うまくいって、最後のあたりで、すでに拍手が起こった。すごく感動した。リッポンは28歳。



 そして、フリーが「道化師」のアレクセイ・ビチェンコは29歳。随所にせかせかした動きがあってどうかなと思うのだが、着々とジャンプを降りる。静止した場面ではとても思慮深そうな顔になる。
 表彰式などを見ていると、物静かな人の反対のタイプ、ぱっぱっと動くし、にこにこ笑うし…という人のようだ。

 ずっと選手を続けてきた人の努力が報われるのを見るのは、心があたたかくなる。日本の二人もがんばった。いい試合だった。

 日本の試合なのに空席が目立ったのは、複雑な気持ちになる。チケットは完売だろうから、採算はとれているのだろうが、高いチケットなのに、買った人も無念なら、買えなかった人も無念だ。こういうときに、何かいい方法はないものか。

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# by tarukosatoko | 2017-11-11 21:56 | フィギュアスケート | Comments(6)

アリョーナ・レオノワががんばった&ポリーナ・ツルスカヤの最強ディレイドジャンプ復活!(NHK杯2017)

 女子シングルは、26歳のロシアのアリョーナ・レオノワがノーミスの素晴らしい演技をした。フリーはインド音楽でインド舞踊の動きが効果的にはいっている。「レオノワってインド音楽と相性がいいのかな」と思いながら、身を乗り出して見ていると、全部が大成功の演技になった。喜びを爆発させたような片手ガッツポーズをして、涙を浮かべた。わたしももらい泣きした。男子もだが、長く続けてきた人が報われるのは、見ているものの心にも喜びがじーんとしみてくる。

 そして、シニア初参戦のロシアのポリーナ・ツルスカヤは、みごとなディレイドジャンプでいきなりの高得点だった。何度でも見たいプログラムだ。
 二年前のシーズンは優勝確実だと思われたジュニア世界選手権を直前の怪我で棄権、昨シーズンはシーズン途中で怪我などで失速し、先天的な問題も見つかった。力があるのに結果がでなかった人が報われるのは、、これもまた、見ていて本当にうれしい。

 そして、わたしたちの日本の宮原知子は、とても気品のあるスケーターだということを再確認した。演技後の晴れやかな、素の表情がかわいかった。全日本では最高の力を発揮してほしい。

 風邪をこじらせて気分も落ち込んでいたのだが、NHK杯に大きな元気をもらった。


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# by tarukosatoko | 2017-11-11 21:40 | フィギュアスケート | Comments(2)

本をペラペラ読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートや映画、生活雑記もあり。


by タルコフスカヤ・さとこ
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