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『僕の村は戦場だった』(アンドレイ・タルコフスキー監督) 静かに、大切にしたい、少年の思い

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 今年の始め、1月1日の午前0時に、わたしはDVDで『僕の村は戦場だった』(原題は『イヴァンの子供時代』)の映画を見始めた。なんか、こういうのはあれだが…2016年を、大好きなタルコフスキー映画で始めたのだ…。

 『僕の村は戦場だった』は、1962年制作のソ連映画で、アンドレイ・タルコフスキー監督の長編第1作だ。94分と、タルコフスキー映画の中では短い作品だ。日本では1963年に公開された。1962年のヴェネツィア国際映画祭で、サン・マルコ金獅子賞を受賞している。

 舞台は第二次世界大戦中のソビエトで、主人公は、ドイツ軍に両親と妹を殺された12歳の少年イワンだ。イワンはパルチザン(占領軍に対して土地の住人の中から立ちあがり武器をとって抵抗する遊撃隊)に入って戦ったあと、子供であることをいかしてソビエト赤軍の偵察任務に協力している。
 イワンは重要な働きをするが、これ以上、子供に危険な任務をさせることはできないと、中佐たちはイワンに幼年学校に入ることを命じるが、家族を奪われた怒りとドイツ兵への復讐心でいっぱいのイワンは「戦争中に休むなんて役立たずだけだ」とそれを拒む。
 ドイツへの総攻撃を前に、イワンたちは偵察のために、敵地へ舟で向かう……

映画の中では常に、断続的に、爆弾の光が空に見え、爆音が聞こえる。時には、それが地上で爆発して建物を破壊し、あたった人が亡くなる。登場人物たちはそれに偶然あたることなく、爆弾をよけながら、生活している。

家を失った男性は、その事実から目をそらして、あたかも家があるかのようにふるまっている。
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 この映画は、みたあと、いつまでも忘れられない映画だ。心が破れたような気持ちになる。自分の心に、映画を見て受けたショックの跡がずっと残るのではないかと思われる、静かでいて、重たい映画だった。でも、見なければよかったと思うような映画ではなくて、いつまでも、心の中で大事にしておきたい映画だった。

 たくさんの反戦映画があるが、これは戦争の悲劇を静かに告発する、どんな人にも響いてくる良質な映画だと思う。ますますタルコフスキー監督のファンになった。
 
 イワン役のニコライ・ブルリャーエフは、見ているものも浄化してしまうくらい、笑顔がきれいな少年だ。母や妹と過ごしている回想シーンでの純真な笑顔と、戦争中の暗く意志の強い顏が対照的で、それが、心にずしんと重く響く。

 このニコライ・ブルリャーエフはタルコフスキー監督の次の作品『アンドレイ・ルブリョフ』にも大事な役で出演している。また、タルコフスキー映画ではおなじみのニコライ・グリニコもグリャズノフ中佐役で出演している。

 この第1作から、すでに、燃える火、したたる水、川などのタルコフスキー映画の特徴ともいえる映像表現が次々と出てくる。それが、ことごとく冴えわたっている。


映画




by tarukosatoko | 2016-01-16 20:32 | 映画 | Comments(0)

本をぺらぺら読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートやタイ・中国などのアジアドラア、生活雑記もあり。


by さとこ タルコフスカヤ