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ぺらぺらうかうか堂(フィギュアスケート&本&タイドラマ等&雑記)


本をぺらぺら読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートやタイ・中国などのアジアドラア、生活雑記もあり。
by さとこ タルコフスカヤ
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『ブーリン家の姉妹』(フィリッパ・グレゴリー著) 16世紀のイギリス 出る杭は断頭台に送られる?!

『ブーリン家の姉妹』(フィリッパ・グレゴリー著) 16世紀のイギリス 出る杭は断頭台に送られる?!_e0337786_21201432.jpg

 上下二巻の長い話で、実話に基づいているとのことだ。半端なくこってりと強烈で、丸二日、新興貴族のブーリン家の姉妹が、王妃の座を狙って、なんとか王の寵愛を得てことを有利に…と格闘するのを、息もできないような濃密なスリルを味わいながら読んだ。王が国を統治する国では、これと同じような無数のお話があるのだと思うが、ブーリン家の話はひたすらに、えぐい…

 貴族に生まれてみたいものだと憧れていたが、中途半端で野心的な貴族の家に美しい女性として生まれたら、とんでもない任務を負わされることになる。そんな家に生まれたら、女の子に少女時代はないのだ。女の子は王に差し出す「駒」として扱われる。目的は、王の直系の男の子を生んで、その子を王にすることだ。そうなれば、王妃の実家は最高の富と名誉を手にする。王妃になって実家に貢献しても、女の子を生んだら無能者のように責められる。ひどい。

 例えば、12歳で結婚して、結婚していながら王の愛人になるように家長から言い渡され、娼婦の手練手管を習い、15歳くらいで40歳くらいの王の愛人か王妃になれたら、今度は、立場を守ることで満身創痍になる。身の回りの世話をしてくれる小間使いなど周りのすべての女性が、王を奪おうとしているのだ。誰も信じることはできない。蹴落とされたり、食べ物に毒が盛られたり、命を狙われたりするし、最悪は、濡れ衣を着せられて、断頭台だ。

 

 16世紀のイギリス、国王はヘンリー8世だ。王が望んでいることも、ただ一つ、正室である王妃が世継ぎの男の子を生むことだ。イギリスの歴史を良く知らなかったが、この王は、なかなか男の子に恵まれず、妃を6人もとっかえひっかえした。うち二人を断頭台に送った。主人公は王の2番目の妻とその妹。二人を中心とする一族の物語だ。

 アンとメアリー、姉妹そろって、王の前に出る二人だが、二人は違うタイプだ。黒髪の姉アンは野心が強く、気性が荒く、自分に確信をもっていて、しっかりしている。一方で、妹メアリーは金髪で、おとなしく優しく、要領を得ないところがある。二人は常に明暗のどちらかで、片方がうまくいっているときは片方が辛酸をなめているし、何度も逆転する。二人を身近でフォローするのが兄で、王のお気に入りの取り巻きとして、宮殿に暮らし、複雑な役回りをしている。

 だが、流産や死産などが続いて、無事に育つのは女の子ばかり。そこで、悪魔に…という話が出てきた時には、おどろおどろしく、気持ち悪くなった。教会が王よりも強い権力を持っているが、王はそれを逆転させようともする。
 そして民衆は、納得のいかないことには、大きな声をあげる。世論が大きな力を持っていた時代の話だ。ここだけは、いい話だと感じた。

 この本は2001年に出版されて、ベストセラーになり、映画化されてナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンが姉妹を演じた。また、続編も出版されている。

 ところで、本の後書きによると、生まれた子供たちも、何らかの足跡を残している。
 最初の王妃の子供メアリーは、王位につき、カトリック復帰のために300人のプロテスタント指導者を血祭にあげ、“ブラッディ・メアリー”と呼ばれて恐れられたそうだ。あのカクテルの名前にはこんな怖い由来があったのだ。
 姉のアンの子供のエリザベスも40年以上にわたって、女王になった。妹のメアリーの子孫にはダイアナ元妃も。カミラ夫人のこととか、ダイアナ妃の交通事故とか、1990年代にも騒動があったことを思い出した。

 小説の中では、ヘンリー8世の人間のひどさに辟易した。イギリスは王ではなく女王がいいなと漠然と思った。今のエリザベス2世は1952年から65年も在位している!





by tarukosatoko | 2017-09-12 18:00 | | Comments(2)
Commented by mo8_a29 at 2017-09-12 21:46
ふーーむ
イギリス王室は結構血で血を洗うことを繰り返していたようで、、、王様の国家って理不尽。子どもも女の子を軽んじる伝統もなかなか嫌なもので・・・あのロミオとジュリエットのジュリエットのお母さんはジュリエットと同じ年14歳ですでに子どもを産んでいたそうで・・・要するに政略結婚。いや貴族は厳しい。ドロドロ。
Commented by tarukosatoko at 2017-09-13 16:14
> mo8_a29さん
ほんとうに、ふーーーむ、という言葉がでてくるばかりです。
ロミオとジュリエットの話ができたのと、ブーリン家の話は、少しずれますが、同じ16世紀ですね。考えたこともなかったですが、ジュリエットもブーリン家の姉妹と同じく、貴族の家の「駒」として扱われる存在だったことも描かれているのですね。ジュリエットの母は、まだ20代なのですね…。今とえらい違いです!
時代がかわりますが、『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネットも政略結婚でした。
12・3歳で結婚なので、10歳くらいまでは少女時代があるのでしょうけれど。
ほんと、楽な人間というのはいないもんですね~。
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