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本読み虫さとこ・ぺらぺらうかうか堂(フィギュアスケート&映画も)

『約束の海』(山崎豊子) 89歳で自衛隊という難しいテーマの骨太小説を書く作家

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 テレビで山崎豊子原作の『華麗なる一族』をしていた。木村拓哉と北大路欣也と鈴木京香の新しいほうではなくて、昭和の二枚目・佐分利信と仲代達矢の古い方の映画だ。数年前に読んだ『華麗なる一族』はおぞましかったが、こんなものを書く人は本当にすごい精神力と筆力だと思った。

 久しぶりに山崎豊子を…と、読んでいない『約束の海』を読んだ。最初からおもしろく、どんどん読んだが、途中から不審に感じた。本のページが残り少ないのに、話はまだ序盤なのだ。どうやって終わるのだろうといぶかしく思いながら読んでいると、まさかの、未完だった。2013年9月、山崎豊子先生が執筆中に亡くなってしまったということだ。体調不良で入院し呼吸不全でなくなったということだが、八十九歳だった。

 八十九歳で、こんな精力的なおもしろい小説を書いておられたとは、すごい生命力だ。体力的な部分から、資料集めとか取材はスタッフがしたのだそうだが、人というのは、体は老いて弱くなっても、精神はきちんと働くものなのだ。働く人は働くのだ。

 遠藤周作が亡くなる3年前、七十歳で『深い河』という真摯な小説を書いたことを知ったときは、人の心はいつまでもまっすぐに素直に一生懸命に道を求めることを続けられるのだと感動したが、山崎豊子は八十九歳で、自衛隊という難しいテーマに取り組もうとしていた。八十九歳で!!このような尊敬できる作家の人たちがいることはうれしいことだ。

 主人公は、自衛隊の潜水艦に乗る男性で、潜水艦が釣り船に衝突したことから、話が始まり、主人公の恋や、家族や、潜水艦や自衛隊の存在の難しさなどを、追求していく話だった。潜水艦の役割とか、潜水艦の仕組みとか、潜水艦への深い思い入れとか、潜水艦の艦長になる意味とか、知らなかったことばかりだった。山崎豊子はいったい、自衛隊をどういうふうに描ききるのだろうかと、興味津々だった。最後まで読みたかった!

 山崎豊子を最初に読んだのは、中国残留孤児の半生を描いた『大地の子』だった。こういう、どっしりとした小説が好きだ。

つぶやき



Commented by mo8_a29 at 2018-05-18 18:12
山崎豊子さんの晩年の作品なんですね。社会派な小説はずっしり読めますね。しかし晩年まで重い主題を文章にしていたのですね。
私は『二つの祖国』を読みました。
『大地の子』はドラマで見ましたね。映画化が多いですね。山崎さんの作品は。
Commented by tarukosatoko at 2018-05-20 00:40
> mo8_a29さん
『二つの祖国』は読んでいないのですよ。何を読んでも、がっかりすることがないのが山崎豊子さんです。つまらない内容の本を読むのに何時間も費やして「わたしの時間を返して下さい」とは思わないですね。そこがいいところでしょうか。

今晩、テレビで町田さんの特集をしていて、惚れ直しましたよ。かっこいいですね。
Commented by mo8_a29 at 2018-05-20 10:31
日本は学生どうしの間 若い人どうしの間 人と人の関係が 同調とかいうものでつながっているところが大きいから
「そうそう」なんて言われて和んでるところも大きいですけれど 町田さん 違うんですね。昔から。 我が道を行く人ってすごいなーーー!と思っているんですが まさにひとり 信じる道 柔軟性を持って好きな道を歩いている 町田さん(まっちー)尊敬してしまいますよ。子供と同じ年の人だけど。年齢関係ないですね。
Commented by tarukosatoko at 2018-05-22 14:57
> mo8_a29さん
動画を見て、衝撃でした。ジョルジュ・ドンを見たときのような、衝撃でした。芸術の道を行く人に大事なのは、おっしゃるように、和んでいるとかではなく、一人で我が道を行くことなんですね。実感です。
本当に…、年齢は関係ないですね。
まっちーはすごいです…

by tarukosatoko | 2018-05-14 21:53 | | Comments(4)

本をペラペラ読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートや映画、生活雑記もあり。

by タルコフスカヤ・さとこ
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