本をぺらぺら読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートやタイ・中国などのアジアドラア、生活雑記もあり。
by さとこ タルコフスカヤ
THE ICE2019大阪② 宇野昌磨を凝縮したダンスレッスン&脱力ダンスバトル&最強選手が続々と&高貴なコリャダ
後半部分は、どうだ、どうだ、どうだ!と、最強選手がぞくぞくと出てくるというタイプのパワフルなものになった。
休憩の前のダンスレッスン動画は、宇野昌磨が担当していた。これが宇野昌磨の特徴を凝縮しているという点では秀逸だった。「天国への階段」の最後のかっこいい決めポーズから始まり、その両手を「シャー」と下ろす。その後、ゲームをしている格好で「ピコピコ」、きょとんとして左右を見て「えっ」「えっ」。試合前の宇野昌磨のように、腕を前から後ろに回したあと、「Great Sprit」の片手を「ウォウ、ウォウ、ウォウ、ウォウ…」と上に上げる動きをして、最後は「クリムキーン…」と、クリムキンイーグルをする…。これを「君の瞳に恋してる」で踊るのだ。漫才好きなわたしには超魅力的な、ダンスだった。名作だ…
↓(宇野昌磨によるダンス指導音声の動画をチュッキョフィギュアさんがあげてくださっていたので、お借りします。暑い夏にいい感じの脱力ができます)
20分休憩のあと、後半に入る。前半が1時間足らずで、後半が1時間半くらいだった。
ダンスバトル
THE ICE恒例の余興、ダンスバトルが復活した。宇野昌磨が審判で、ペラペラで畳みじわあるぶかぶかの学生服姿で出てきた。助手役の本田真凜も大阪を意識したようなド派手な衣装で登場した。その時点で脱力した余興感がどっぷりとリンクに漂った。
最初に、本田真凜と本田望結が対決の見本を示した。7月27日夜の部は、樋渡知樹とロマン・ポンサールだった。樋渡選手は映画「アラジン」のアラジンの扮装で、魔法のランプのかわりに大きなプラスチックのじょうろを持って登場した。じょうろとは、草花に水をかけるときに使う昭和の香りがする道具だ。今でも園芸店では売られている。懐かしい!
⬆これの白いものを持って出てきた。よく、思い付いたものだ。
空飛ぶ絨毯がわりの赤い布もぺらぺらな薄さなのが、笑いを誘う。対するポンサールは、ランプの中に住んでいるジーニーの扮装で、アラジンが座った絨毯をひっぱって、アラジンが倒れたりして、まさに余興というリラックスぶりだった。
樋渡選手は、やっぱり滑りが達者だった。みごとだった。対するポンサールは洗練されていて、全然違うタイプの選手だと思った。
二人が滑った後、観客がうまかったほうに拍手をして、最終判定は宇野昌磨がする。宇野昌磨は非常に困っていた…。ポンサールが勝って先に進むことになった。最終的には、名古屋の最後のザアイスで優勝者が決まるというトーナメントになっている。
ミハエル・コリャダ
チャップリンのプログラム。きっちりとしたチャップリンのような衣装で、見えているのは手だけなので、筋肉の付き方に気を取られることもなく、演技に見入ることができた。筋肉を隠すことは上品への近道なのか???
果たして、コリャダの動きは、別格!と思えるほどに、優雅で上品で高貴だった。動きに余裕があり、表情にも余裕があり、完璧な緩急がついていて、無駄なブレがない、雑音のような動きが一切ない。くっきりピントがあった写真のような、予想以上にコリャダは、きれいだった。自分が感じていたコリャダ選手の印象よりも、数倍、本物の滑りは格調高かった!
ヨーロッパの名陶の、ぶれのない深みのある陶器作品のような、たたずまいだった。個々で違うが、デニス・テンや町田樹につながるようなタイプというのか。
坂本花織
赤い衣装で、コリャダに続いて、すごい人が滑っているという印象。滑りも技も職人的で、エッジも深くぐいーんぐいーんとステップをふむ。体のすべての関節が気持ちよく無理なく動いているように見えて、見ているのも心地いい。筋肉の具合も動きの柔らかさを損なわない理想的な状態に見えた。昨年の全日本優勝は、わたしもうれしかった。神戸のスケーターなので、応援に力が入る。
ビンセント・ジョウ
こんな顔の人だったのか…。テレビと印象が違う。細くてひたむきな好青年であることは同じなのだが、テレビよりもさらに細いし、顔の表情に繊細な印象を持った。平昌オリンピックでぎりぎりな状態であるにもかかわらず、懸命に4回転ジャンプを次々とんだことが強く印象に残っている。強い意志を感じた。
フリーを滑る。冒頭で2回、4回転ジャンプをしていた。これからのシーズンは正念場になることだろう。
今シーズンから濱田美栄コーチに指導を受けることになり、さらに、木下グループがスポンサーについたことも驚いたニュースだった。ついに、日本人コーチのもとに外国のトップ選手がやってきた記念すべき一号だ(と思うが、前にもいたのだろうか)。最近では。濱田コーチはこれから世界でも有数のコーチになるだろうか。これからだ。
紀平梨花
黒い衣装がつやつやと美しかった。紀平梨花はとりわけ、肌がきれいで、衣装も常にセンスがいい。メイクも完璧に整っている。自己管理が行き届いていて、常に準備万端という印象が強い。エレメンツが洗練されているうえに、ジャンプもできる。筋肉も非常に強く働くことができそうだ。今シーズンはどこまで行けるのだろうか。4回転サルコウとトリプルアクセルの成功を祈る。
演技後、金色の上着を着たミハエル・コリャダが登場して、ペアで滑った。ここでも、コリャダは金色衣装に負けないくらい、輝いていた。コリャダが出てくると、リンクが一瞬にして、ものすごく由緒あるものに見えてくる。ロシアという厳しい国で生きている人の輝き具合というのか。
ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン
昨シーズンの「オブリビオン」とピアソラのプログラムだった!音楽の「オブリビオン」が好きなので、一番見たかったプログラムだ。うれしかった!
すごい技をしながらぐいぐいと、急流滑りのように流れていくスケートは、夢の中の出来事のようだった。昨年はエド・シーランのショートプログラムを見せてくれた。一番見たいプログラムを滑ってくれる二人なのだ。
ネイサン・チェン
声援の多さと大きさからファンが多いことが一目瞭然でわかる。体の動きが音楽と完全に連動していて、すべて美しい。ジャンプの高さがものすごい。滑りと共に、衣装がはためくことで、すごいスピードを実感する。高度な技をしながら、ショーダンサーのように動く。今シーズンが待ち遠しい!
アリーナ・ザギトワ
足が長い、スタイルがすごい、顔が濃くて美しい。そこにいるだけで、最強の存在感で、周りの人がかすんでしまうほど。そして若くして五輪金メダルに輝いた人が辿ることが多い茨の道を、勇敢に歩んで、昨年も結果を出したことには尊敬の念を抱く。ショートプログラムを滑った。背がたくさん伸びて、まるで別の人のように成長しているザギトワが、ここまでレベルを保っていることに感動する。
宇野昌磨
「This Town」。デビッド・ウィルソン振付けの2017-2018の前半のエキシビションだ。衣装も攻めていると思う。エテリコーチのロシア合宿で見違えるほどにやせたりはしていないようだが、演技全体に自信が見えて、整った印象が。ジャンプの音がきれいだった。そして、間近に見る宇野昌磨は、もう、超絶技巧で神様が作ったのかと思うほどに、こんなかわいくてきれいな生き物は見たことがないくらい…、愛らしかった。
後半は以上。フィナーレはのちほど。
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by tarukosatoko
| 2019-07-31 09:33
| フィギュアスケート
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