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ぺらぺらうかうか堂(フィギュアスケート&本&タイドラマ等&雑記)


本をぺらぺら読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートやタイ・中国などのアジアドラア、生活雑記もあり。
by さとこ タルコフスカヤ
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映画『風立ちぬ』(宮崎駿監督) それでも菜穂子さんが「生きて」と言う & 荒井由美 & お菓子のシベリア

 フィギュアスケート観戦の合間に、宮崎駿の『風立ちぬ』を見た。2013年、宮崎駿が長編映画作りを最後にするということで公開された作品だ。

 映画が終わって荒井由実の「ひこうき雲」が流れ出したところで、急に涙が出た。何がどうだとすぐには説明できないが、重たくて自分よりも巨大な塊のような悲しみに辺り一面が覆われたような感じだった。それなのに、笑顔で前を向いているような状態でいるという。
 絶望しかないではないか。でも、菜穂子さんが「生きて」というのだ。そうなのか…、泣けてくる。

 主人公の堀越次郎の声を担当した庵野秀明の棒読みの台詞は、素人でもこうまではできないほどの、とんでもない棒読みだったが、「こういう人っているのだろうな」とだんだん思えてきた。話し方が堀越次郎の性格を物語っていた。

 関東在震災の場面の映像とか、飛行機がとんでいる場面とか、リアルというのではなく、異世界での出来事のような、違和感があるが実態があるようなスピードと、見たこともない、体験したことがない、異界ではこうなのだろうと思われる躍動感と質感があって、宮崎駿はアニメとして行き着ける最も奥深くまで行ったのだろうかと感じた。

 画面は平面なのだが、絵自体が命や自身の意思をを持ってしまったような不気味なほどの生き物の感じがあった。これは、『千と千尋の神隠し』『崖の上のポニョ』などでも感じた。アニメ世界にしかないリアルを作り出したのかと。といっても、そんなにアニメを見ていないので、わからない。

 それと、映画の中では、昭和中期までの日本人のいいところが表現されていたと思う。静かで、あからさまな表現はしない。人のことを即座に察して、適切なことをすることができる。恩義せがましくなく、自己主張するでもなく、さっと動く。後をひかない。どうでもいいことをくどくどと話さないし、嘘も言わない。虚飾がなく、偽善もない。

 空をずっと見ていたいという気持ちになった。

 松任谷由実が結婚する前、荒井由実だったときの、暗めの歌が今でも好きだ。特に「ひこうき雲」は、週末の午後の暗くなる直前の時間帯に、シーンとした一人の部屋などで聞くと最高だった。歌詞と歌詞の間の空白の無言の部分が好きだった。歌詞のない部分に含みがある。行間がある歌というのだろうか。




 前に広島の呉にある大和ミュージアムに行ったとき、零戦を見た。戦闘機の実物を見た。1978年、琵琶湖に沈んでいたのが発見されて、京都や和歌山で展示されたが2005年に大和ミュージアムにひきとられたらしい。
 とてもコンパクトで無駄がなく、きれいな形の、かっこいい戦闘機ではあったが、飛行機の羽の部分から鉄砲(というのか…)が飛び出していて、「撃たれる!」と思って怖かった。乗り物としては、夢の実現のようなところがあり、形も美しい。でも、用途は人や街を破壊して、死に直結しているというものだ。その絶望的な矛盾が映画では描かれていた。そういう悲劇的な矛盾は人間が世界を治めようとするかぎり、生きているかぎり、避けられないものかもしれない。

 映画と言えば、タバコが効果的な小道具になっていると思う。それも、その人がどの銘柄のタバコをすうかで、その人がどんなタイプの人なのかを表すことも出来る。1900年代前半の映画などは国を問わず、主人公が映画の間中、タバコをすっていることもあるくらいだ。
 『風立ちぬ』も、かなりタバコをすう。結核療養中の妻が「そばにいて」といったため、妻の手をとりながら妻の横で、部屋の中でタバコをすう場面などには、日本禁煙学会から批判が出たのだという。

それから、カステラに羊羹をサンドした、あのシベリアというお菓子が出てきた。主人公が夜に小さなお店で買う。おいしそう!!

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by tarukosatoko | 2019-09-06 20:05 | 映画 | Comments(2)
Commented by mo8_a29 at 2019-09-12 09:09
ひこうき雲 亡くなった同級生のためにつくって欲しいと、どこかの中学校の子たちがユーミンに依頼してつくった曲ですよね。その歌がどこぞの学校の校歌?だったような記憶が・・・離島かな?自分も中学生だった頃に聴いて、その話も聞いて「えらいドラマチックだな~~」と感動したのを思い出しました。
この『君の名は』で劇中使われていて 「空にあこがれて
空を駆けてゆく・・・」そういえば主題に沿っているかなと偶然を感じました。
偶然 その憧れは 不幸な使われ方をしてしまったけれど。

なんだか 観たあと苦い気持ちを感じました。

シベリアは甘いけれど・・・^^; おいしそーでしたね。
Commented by tarukosatoko at 2019-09-12 21:24
> mo8_a29さん
そういえばそんな話を聞いたような…、でも、すっかり忘れていました。ユーミンがそういうリクエストに応えて作ってくれたんですね。すごいな!校歌になっているということは、前向きに捉えている歌なんですね。

この映画では、書いておられるように、よく考えたら、すごく悲しいひこうき雲ですね。見た後、ぼーっとしてしまうようなところがありますが、すごく重たい映画です。それを描く宮崎駿はさすがですね。

歌詞についてあまり考えていなくて、荒井由実の含みをもった歌い方がすごく好きでしたが、年々、この歌好きだなあと感じるようになりました。
特に最近は「他の人にはわからない~」という部分で、本当に、人は誰もが「他の人にはわからない」切実なものを自分一人の中に持っているのだなと感じています。
『君の名は』に使われていることは気がつきませんでしたよ。

シベリア、また食べたいのですがなかなか、ネットで取り寄せてまでは…
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