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町田樹「フィギュアスケーターのためのバレエ入門」パート1と2を見終える フィギュアを見る目が細部でクリアになった気がする



 配信された「町田樹・フィギュアスケーターのためのバレエ入門」を少しずつ見ている。今日、やっと2時間49分を見終えて、氷上でのワークショップにたどり着いた。

 この配信は学校の授業そのものだった!

 前にさかなクンの講演会に行ったことを思い出した。安易な気持ちで聞きに行ったら、思いのほか難しい話になって、おお、さかなクンすごい、と思ったことを思い出した。安易な気持ちで町田さんの配信を申し込んだわけではないが、思ったよりも本格的だった。

 ちょっと難しい目の授業を受けるように、集中して視聴するのが少したいへんだったが、貴重なことがたくさんわかった。なんとなくそうだなあと思っていたことが理屈でわかるようになった。これからフィギュアスケートを見る目が養われた。

 ここ何年か、毎日のように、ぱらぱらと思いつくままに選手の演技を見ているのだが、曇ったガラスを通して見ていたようだったのが、町田さんの授業を受けることで、視界がクリアになって、まるで違って見えた。

 例えば…、うおおおお、シニア一年目のトゥクタミシェワのくねくねとした手の動かし方はバレエの基本からきているところがあるのか、シニア一年目の宮原知子もバレエの動きに忠実だ…、一方で美しく感じられない演技は、手の動かし方が棒のようだから…などなど。

 パート1で、印象に残ったことをものすごく簡単に箇条書きしておく。
○バレエにはフィギュアスケートを美しく見せるためのヒントがたくさんある。
○フィギュアスケートの技やポジションにはバレエがもとになったものが多い
○しかし、フィギュアスケートはバレエに従属しているわけではなく、フィギュアオリジナルの技がたくさんある
○バレエが正面から見られるのに対して、フィギュアスケートは360度全方向から見られるので、空間の使い方、見せ方がバレエとは違う


○表現力とは何か、これは永遠の問いだ。
○技術+知的感性=表現力(表現力とは、技術と知的な感性の融合)
○知的感性とは、まず、作品のことを知的に理解することが必要。ストーリー、登場人物がどんな人で、どんな感情を持って、何をしている人なのか。作者、作曲家、振付家それぞれが、どんな人生背景を持ち、どんな思いをこめているのか、演者はどのように解釈して演じるのか。
○背景を知らずに、表面だけで音楽を使うなどすると、うすっぺらな表現になってしまう
○実演家の醍醐味は、作品の全体を理解したうえで、さらに自分の想像力を加えて踊り込んでいくこと

 ここで、『白鳥の湖』を例に具体的な話があって、わかりやすかった。

 パート2は、床の上でのバーレッスンだ。町田さんが大学でバレエを指導していると聞いたことがあったが、こういうことなのだろうか。町田さんの動きがめちゃくちゃにきれいで、長い長いレッスンだったが、見とれてしまった。

 現役のころの心に訴える演技の裏には、パート1のような知的活動と、パート2のような美しくかつ厳しい身体活動があったことがわかった。どんな道順で進めば、町田樹の演技にたどり着けるかがわかる。これぞ、学問というものだろう(と思った)。

 アームスの4つのポジション、脚の5つのポジションなどなど。手の美しい動かし方は、首のまわりや脇の下?のあたりに、必ず空間を作る、手を動かすときは、ひじ、手首、指の順で。体の胴体(肩のラインを前後にねじらない)の部分はねじらないのが基本。手を遠くに伸ばすとしても、肩の位置は保持。空気を運ぶ。

 アームスと顔の動きがシンクロすると美しい。これは浅田真央さんの演技できれいだなと思っていたので、ああこれなのかとわかった。

 自分がどうして、北米よりもロシアのスケーターが好きなのかが、よーくわかった。

 ロシアのスケーターの動きがバレエを基本にしているから好きなのだ。フィギュアスケートで見るならば、ジャズ作品ではなく、バレエ作品をもとにしたもののほうが、好きなのだ。普段はバレエ音楽よりもジャズのほうが好きなのだが。

 そして、これは例外もたくさんあるが、同じバレエ作品を演じても、北米の人よりもロシアの人が演じたほうが、味があって、好きなことが多かった。もちろん、例外はたくさんある。

 自分はだた、バレエの動きが好きなようなので、バレエそのものを見たらいいのではないかと思ったりしたこともあった。でも、フィギュアスケートには氷があり、滑ることで風がおこり、360度全方向に対応する振付けがある。そこが好きなのだ。

 そして、フィギュアスケーターがバレエ作品を演じる時には、演じる人の先人への敬意がある。それは見えないものだが、スケーターの動きから出てくる先人を尊敬する気持ちが感じられて、そこが好きだったこともあるのだ。滑っているのは一人のスケーターだが、その背後にはたくさんの芸術家たちが連なっているのだ。演技中にその雰囲気がだーっと浮かび上がってくる感じがものすごく好きだ。

 かつて作品を素晴らしく演じた人Aがいた。時代がかわり、Aを尊敬し憧れてさらに自らの新たなものを加えて演じた人Bが現れる。さらに次の時代には、AとBに憧れて新しいものを加えた人Cが現れる。そうして連綿と紡がれていく作品というのが、ものすごく好きだ!作品が生き物のように、時間をこえて、生きている感じが、ものすごく好きだ。まさに、町田樹の「継ぐ者」たちが大好きなのだ。

 いよいよ、氷上での作品作りを見ている。講義を聴きながら、何度も何度も、「パート1と2はとばして、氷上の滑りを見てしまいたい!!ちょっとだけでも見ようかな…」という誘惑があったが、耐えたかいがあった。パート1と2を見ていなかったら決してわからなかったことだらけだ。動きの意味が、前よりもぐっとわかっているのだ。

 氷上の部分の最初だけを見た。まず、町田さんが滑ってみせるのだが、その美しいことといったら。再び、見られる日が来たこともうれしい。

 とはいっても、たぶん、たくさん聞き落としているところや誤解しているところなどがあるだろうから、あと、何度か、全体を見直したい。このような配信を見ることが出来たのは、大きなプレゼントで、町田樹さんに感謝する!

 


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by tarukosatoko | 2020-09-24 09:18 | フィギュアスケート | Comments(0)

本をぺらぺら読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートやタイ・中国などのアジアドラア、生活雑記もあり。


by さとこ タルコフスカヤ