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タイドラマ『To Sir with Love』 奇想天外と深いやさしさに加え、最後はマイノリティーへの理解を訴える大作

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 タイと中国で爆発的ヒットをした大家族の泥沼愛憎劇、ということで最後まで見終わりました。しばし絶句して、一ヶ月ほどは、なんもいえない状態でした。

 このドラマ、びっくりする。日本人は絶対に作らない。欧米人も作らないし、中国ドラマなら、ここまではしないと思う。もっと、整えるはずだ。行き当たりばったり的な展開が行き当たりばったり的に組み合わされて、奇想天外な展開が、さらに奇想天外な展開を産む。頭がおかしい。ぶっとび散らしている…というドラマ。ドラマの録画は未視聴がどんどんたまっていくことがあるが、このドラマは、「なんやねん、これ」と思いながらも、放映されたらすぐに見て、次を待った。

 登場する人が全員、張り詰めた表情。古くさい髪型、古くさい衣装。それがクセになるドラマなのだ。



 1930年代のサイアム(タイ)に定住した中国人で巨大な富をなした5つの名家。彼らは〝五龍会〟を結成して、その中でも有力なソン家当主が会長の座に君臨していた。ある日、メンバーであるチャン家の当主が同性愛者であることが暴露され、会から追放されたチャンは落胆絶望し、「いつの日か、同じ苦しみを味わうだろう」と会長に呪いの言葉をかけて、命を絶つ。

 ソン家の後継者ティアンが同性愛者なのを示唆するのは、子供時代の場面だ。家族で京劇を見に行ったティアンは京劇の女性役に憧れる。布をまとって京劇の女性を再現するティアンを目撃した母親は、ティアンが同性愛者であることを瞬時にさとって、生涯、隠し通すことを決意する。

 時がたち、ソン家の第一夫人の息子、ティアンは後継者にふさわしい仕事ぶりで、周りからも慕われていた。第2夫人が息子のヤンを会長の座にと妨害工作を繰り出してくる中、沈着冷静な第1夫人のジャンは盤石な状態を作っていた。

 ある日、外出したティアンは、当時タイを仕切っていた日本軍(←第2次世界大戦中の日本軍、友好国という立場と同時に、横暴な行動をする兵士達…)とタイ人が起こしたいざこざに巻き込まれ、命を落としそうになる。そこを、鮮やかな動きで救ってくれたのが、表面的には飴細工職人をしているジウだ。ジウは両親がおらず、病気の妹の治療のために街を仕切る黒幕の指令で、殺し屋をしている。


 と、書き出すと、きりがないくらいエピソード量がものすごいことになる。特殊なキノコが寄生した玉虫がキーになっていて、これを加工した毒を使うところが、玉虫色のきらきらで、異様なのだ。毒を調合する侍女のジアの様子も、なかなかすごい。〝玉虫の毒〟が大事な役割をする。
 玉虫の毒のことを同僚や家族や母親に話したが、もれなく呆れられた。「そんなドラマを見ていてしんどくならないか」と。〝玉虫の毒〟の場面をみるたびに、ただただ、びっくりする。

 タイにはボーイズラブドラマ枠が多いGMMTVがあり、放送も深夜などが多いようなのだが、このドラマは、GMMTVではないほうのONE31で制作され、人が起きている時間帯に放映されたそうだ。同性愛者というマイノリティへの理解を強く訴える社会派作品という色合いを帯びている。

 これを見て、思うのは、タイドラマがやっぱり好きだな、ということ。最後の詰めの場面で、人々のやさしさがシンプルでいて深い。大雑把といえばそうかもしれないが、そこが好きだ。このやさしさは、他の国のドラマにはない。仏教が人々の生活に根付いていることからくるのかと思う。ストーリーの展開が、これまた奇想天外を押し通してきて、自由自在なのも好きだ。それは禁じ手だということをあっさりと実行するところもおもしろい。









by tarukosatoko | 2023-11-09 10:18 | 映画・ドラマ | Comments(0)

本をぺらぺら読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートやタイ・中国などのアジアドラア、生活雑記もあり。


by さとこ タルコフスカヤ