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『サファイア』(湊かなえ) 宝石の題名の短編集、フィギュアスケートでいうなら、「本当に…すばらしいプログラムでした」

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 さくっと読んで、かなりおもしろい湊かなえの短編集。筆が走っているというのか、湊かなえさんもめっちゃ楽しんで書いたのではと思ったりする。新鮮で爽快な疾走感がある。フィギュアスケートでいうと、「これが湊かなえです、そしてこれが、新しい湊かなえです!」とかと解説したくなる作品集。

 ↓ネタバレ気味なので、よろしくお願いいたします。

 「真珠」は湊さん定番のイヤミスがものすごい。でも、後半からの展開が驚く。
 
 「ルビー」は、老人福祉施設の話なのだが、その建設予定地にことごとく断られて、作品の場所に建設するが同意してもらえるかとの問い合わせがくる。「家に勝手に老人が上がり込んできたら、夜中じゅう奇声を上げたり、暴れたり、危害を加えられたりしたら」と心配するところを読んで、わたしは自分の母が入っている施設のことを考えた。老人施設とは、そんなふうに思われているのだろうか。建設に反対されるような危険な施設だったのかな、世間ではそんなふうに感じるのが普通なのか?????と。これも後半でまさかの展開があって、納得。しかし、ほんまに、そんな老人施設があるんだろうか???

 「ダイヤモンド」が、これまた、ふるっている。勘違いしているモテない男性をだます女性という設定のままなら、いつもの湊さんだが、それでもおもしろいのだが、このあとに、鶴の恩返し的な要素がどどーーーーーんと、すごい破壊力でかぶってくる。えええええ。えええええ。えええええ。これは事実か妄想か、考える暇もなく、終わる。

 「猫目石」は猫の恩返しではなく、猫のありがた迷惑みたいな話。これは気味が悪いイヤミス。

 「ムーンストーン」は太宰治でいえば「走れメロス」みたいな作品か。走れメロスはちょっと誇張されているが、この話は、前半、後半とわからずに読み進んで、最後で心があたたかくなる、収束をする。本当に、心があたたかくなる。

 しかし、せっかくあたたまった心が、「サファイア」で、崖から突き落とされる。そんなことをしなくても、もう、幸せでいいではないですか。とお願いしたくなる。ところが、最後の「ガーネット」でまた、不幸を改修、手遅れっていえば、そうだが。ありえないような展開だとも思うが、作家が主人公なので、湊さんとだぶっておもしろい。

 湊かなえさんは、NHKで人生相談みたいな番組に出ていて、そのチャーミングな様子に魅了された。それで、あー、あの人が書いているんだと思うと、読める。あのフレンドリーで可愛い笑顔の人が書いていると思うと、読んでいて、うれしい。本との出会い、一人の作家を読み続けるか、やめるか、いろんな要素があるなと思う。

 






by tarukosatoko | 2026-03-14 14:32 | | Comments(0)

本をぺらぺら読むのが一番の幸せ。フィギュアスケートやタイ・中国などのアジアドラア、生活雑記もあり。


by さとこ タルコフスカヤ